Q25.アトピー性皮膚炎の二面性
アトピー性皮膚炎には@乾燥しやすく刺激を受けやすい皮膚の状態(皮膚のバリア機能障害)と、Aアレルギー体質(アトピー体質)という2つの側面があります.
■皮膚のバリア機能障害■
バリア機能障害とは、皮膚を外からの刺激から守り、うるおいを保つ働きをする角質層の状態が悪いことをさします.
そのため、皮膚は乾燥しやすく刺激を受けやすい状態になります.
これは、アレルギーとは異なる側面です.
atopic dry skinと呼ばれる乾燥した鳥肌様のざらざら・かさかさした皮膚の症状として現れます.
この乾燥しやすい皮膚の対策は、1)入浴時、洗浄力の穏やかな石けん・ボディーシャンプーでやさしく洗うこと、2)エモリエント効果のあるワセリン系外用剤やmoisturizing効果のある保湿剤を皮膚に塗ることです.
ワセリン系外用剤や保湿剤は入浴直後に塗ると効果的です.
■アレルギー体質(アトピー体質)■
アトピー性皮膚炎の方はダニ、食物、金属、外用剤などのアレルゲンにアレルギー反応を起こしやすい体質を持っています.
アトピー性皮膚炎の皮膚のアレルギー症状は、炎症を生じている皮膚の状態で、乾燥だけでなく赤くぶつぶつ・かさかさした痒い発疹として現れます.
この炎症症状を鎮める治療の第一歩はステロイド外用剤やタクロリムス外用剤を塗ることと抗アレルギー剤・抗ヒスタミン剤を内服することです.
また、同時にアレルギーの原因になっているアレルゲン(ダニ、食物、金属、外用剤など)を身の回りから減らす対策を行うことも大切です.
皮膚のバリア機能障害があるとアレルゲンが皮膚に進入しやすく、そのためにアレルギー性炎症を生じやすくなります.
また、皮膚にアレルギー性炎症があると角質層の状態がより悪くなり、バリア機能がさらに障害されます.
バリア機能障害とアレルギー体質が相互に関連しながらアトピー性皮膚炎の症状を形成してゆくわけです.
アトピー性皮膚炎の治療はこの二つの問題の治療を行うことが大切です.