Q20.アトピー性皮膚炎の体質改善食.その1

Q16.アトピー性皮膚炎の体質改善食とは?」の続きです.
ここでは不飽和脂肪酸バランスについて説明します.

食生活における脂肪分の摂取のバランスが健康に影響することはご存知のことと思います.
その中でも多価不飽和脂肪酸の摂取バランスはアレルギーに影響があると言われています.

人間が体内で合成できない必須多価不飽和脂肪酸には、リノール酸とα-リノレン酸があります.
それぞれの化学構造から、リノール酸はn-6系不飽和脂肪酸に、α-リノレン酸はn-3系不飽和脂肪酸に分類されます.

n-6系不飽和脂肪酸であるリノール酸は体内で代謝され、アラキドン酸代謝物に変わっていきます.
アラキドン酸代謝物は炎症を引き起こす働きをもち、体内でアラキドン酸代謝産物が増えるとアトピー性皮膚炎が悪化すると考えられています.

n-3系不飽和脂肪酸であるα-リノレン酸は体内で代謝され、エイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)に変化していきます.
これらのn-3系不飽和脂肪酸は、リノール酸(n-6系不飽和脂肪酸)がアラキドン酸代謝産物に代謝されるのを競合的に減らす働きを持ちます.

ちょっと難しくなりましたが、リノール酸の過剰摂取やα-リノレン酸・EPA・DHAの過少摂取はアトピー性皮膚炎を悪くする可能性があるということです.

人間にとってリノール酸もα-リノレン酸も食品から摂取することが必要なものですが、リノール酸は肉類、種からの油、べに花油、マーガリン、ラードに多く含まれ、これらの食品は現代の食生活において過剰摂取になりがちです.
それに対し、α-リノレン酸・EPA・DHAは、魚(特にイワシやサンマなどの青身魚)の油(魚油)や根菜類、シソ油、アマニ油に多く含まれ、摂取量は現代において不足気味であるといわれています.

まとめると、魚や根菜を多く食べ、シソ油やアマニ油を使ったメニューを多くし、肉食、ラードやリノール酸を多く含む食用油の使用を減らすことが、アトピー性皮膚炎の体質改善食のひとつと言えそうです.

参考までにこの話題に関するサイトをリンクします.
栄養成分百科
    

○サイト内リンク
  Q16.アトピー性皮膚炎の体質改善食とは?
  Q26.便秘はアトピー性皮膚炎を悪くする?
  Q38.アトピー性皮膚炎の体質改善食.その2